ダイカストのメリット、デメリットについて
ダイカストのメリット
-
高生産性で生産コストが低い。複雑形状も可能。
ダイカストは複雑な形状の製品を、一工程で量産する為、生産コストは低く抑えられます。
(ただし、プラスチックと違い型抜き方向にテーパーが必要。) -
寸法精度、表面粗さが良い。
切削加工には及びませんが、他の鋳物に比較してダイカストは
非常に高い寸法精度が得られます。場合によって加工レスも可能です。
表1. 普通公差 長さ方向 (社)日本ダイカスト協会による | ||
基本寸法 | 亜鉛合金 | アルミニウム合金 |
---|---|---|
25mm以下 | ±0.25 | ±0.25 |
25~50mm | ±0.29 | ±0.30 |
50~75mm | ±0.33 | ±0.35 |
75~100mm | ±0.37 | ±0.40 |
100~125mm | ±0.41 | ±0.45 |
125~150mm | ±0.45 | ±0.50 |
表2. 重要公差 長さ方向 (社)日本ダイカスト協会による | ||
基本寸法 | 亜鉛合金 | アルミニウム合金 |
---|---|---|
25mm以下 | ±0.080 | ±0.10 |
25~50mm | ±0.105 | ±0.14 |
50~75mm | ±0.130 | ±0.18 |
75~100mm | ±0.155 | ±0.22 |
100~125mm | ±0.180 | ±0.26 |
125~150mm | ±0.205 | ±0.30 |
ダイカストのデメリット
-
機械的強度が低い。
ダイカスト品は溶湯を高速・高圧で充填する為、金型製品部・給湯部(スリーブ内)の空気や蒸発した離型剤を鋳造時に製品に巻込みます。
普通ダイカストでは製品内部に対重量で数%の鋳巣(製品内部のガス)が発生します。
この為強度が必要な部分には適してません。この問題は長年多くのダイカスターが悩んできた課題ですが、2007年に発表された、日本が誇るスーパーカー日産GT-Rの部品は特殊ダイカスト法により解決したそうです。
残念ながらそのダイカスト品を製造したのはドイツのメーカーだそうです。 -
経済性(金型)
金型費用が高いのがネックですが、量産数が多いほどメリットが出てきます。
ただし、金型寿命を迎えた場合、費用は嵩みます。一般にダイカスト金型の寿命は一般アルミ材(ADC12)の場合(溶湯温度680℃)外観品で3万ショット、機能部品で5万ショット、一般部品で8万ショットと言われていますが、20万ショットが金型コストを考慮すると妥当です。
亜鉛合金(ZDC2)は溶湯温度が低い為、20万ショット以上は大丈夫です。
純アルミ材は溶湯温度を高く設定する為、3万ショット程度です。
当社では金型のロングライフ化、金型作製費用の圧縮の為、様々な試作を行っています。
表3. 主な加工法の比較(5段階評価)
|
||||
比較項目 | 機械加工 | ダイカスト | 砂型鋳造 | プラスチック |
---|---|---|---|---|
複雑形状 | 4 | 3 | 2 | 3 |
寸法精度 | 5 | 4 | 1 | 4 |
機械的強度 | 4 | 2 | 3 | 1 |
表面粗さ | 5 | 5 | 1 | 5 |
金型費用 | なし | 1 | 4 | 1 |
金型寿命 | なし | 2 | 1 | 3 |
経済ロット | 100個以下 | 1000個以上 | 100個以下 | 10000個以上 |
製品単価 | 1 | 4 | 3 | 5 |
納期 | 5 | 3 | 3 | 3 |